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賃貸の契約期間を更新する際に発生する更新料。家賃の約1か月分もの金額になってしまうので、家計の負担になると悩んでいる方も多いのではないでしょうか。特に2019年10月には消費税が増税されたことから、増税分さらに負担が増えるのではないかとナーバスになっている方もいるのでは?
そこで今回は、賃貸の更新料と消費税の関係や更新料の概要について解説します。
更新料とは

更新料とは、賃貸契約を更新する度に大家さんに対して支払う費用。契約を延長する際に発生するもので、支払いが必要かどうかは契約時に定められています。地域や物件によっては更新料がないケースがほとんどという場合もありますが、更新料が設定される場合は一般的に家賃1か月程度が相場となっています。
更新料を払わなかったらどうなる?
もし、更新料がある旨を契約書上で合意しているにもかかわらず更新料を支払わなければ、契約解除となり強制退去させられる可能性があります。
2011年7月の最高裁判決では「更新料が高すぎなければ有効」という判決が下されたため、不当に高額な場合以外は支払う義務があるのです。何をもって「高すぎる」と判断するかは難しいところですが、契約期間1年ごとに家賃2か月分の更新料は有効であると裁判で認められています。
更新料が発生しないケース
更新料はあくまで大家さんの任意で設定されるため、物件によっては更新料の設定がない場合もあります。また、更新料の有無には地域差があります。例えば、関東や京都では更新料を徴収するケースが多いですが、大阪や兵庫などでは更新料があまり一般的ではありません。
少々古いデータにはなりますが、2007年に国土交通省が発表した「民間賃貸住宅に係る実態調査」に各都道府県の更新料の徴収率が掲載されています。そのデータの一部を以下に紹介しましょう。
更新料の徴収率
北海道…28.5%
東京…65.0%
神奈川…90.1%
埼玉…61.6%
千葉…82.9%
愛知…40.6%
京都…55.1%
大阪…0%
兵庫…0%
福岡…23.3%
特に、更新料の文化がないエリアから、更新料が設定された物件のほうが多いエリアに引っ越す場合、更新料の存在自体を知らずに見落とすケースもあるので、要注意です。
更新料と消費税

更新料に消費税がかかるか否かは、その物件をどんな目的で借りるかによって変わります。そもそも物件は「居住用」と「事業用」という二つの用途に分けられます。居住用は生活をするために住むパターンで、事業用は物件を事務所や店舗として利用するパターンです。では、居住用で借りた場合と事業用で借りた場合、更新料の消費税の扱いはどのようになるのでしょうか。
居住用なら更新料は非課税
居住用として物件を借りた場合、更新料は非課税となるため消費税はかかりません。契約書に記載された更新料の金額を非課税で支払うことになります。そのほかにも、居住用の場合は家賃、敷金、礼金、共益・管理費、保証会社の保証料が非課税となります。なお、仲介手数料や鍵交換などの初期費用などは課税対象となります。
事業用なら更新料は課税対象
事務所や店舗などの事業用として物件を借りた場合、更新料は課税対象となるので消費税を支払う必要があります。また、事業用の場合は家賃や敷金・礼金、共益・管理費なども課税対象となるので注意が必要です。
なぜ事業用の物件だけは消費税を支払わなければならないのかと思われるかもしれませんが、実は居住用の扱いが特別なだけなのです。日本で初めて消費税が導入された平成元年には、居住用の家賃や更新料なども課税対象でした。しかし、居住が困難になることによる社会問題化が懸念され、平成3年より居住用の物件に関しては非課税となりました。
更新事務手数料はどちらの場合も課税対象
更新料と似たようなものに「更新事務手数料」があります。更新料が大家さんに支払うものなのに対し、更新事務手数料は更新の手続きをする不動産会社に支払うものです。
この更新事務手数料については、どちらも課税対象となります。更新月にかかる費用として契約書に明記されているので、金額を確認しておきましょう。
更新料の支払い方法

更新料の支払い方法は、銀行振込するケースや家賃とともに口座引き落としされるケース、不動産事業者もしくは大家さんに直接現金で支払うケースなど、いくつかのパターンがあります。金額や支払い方法は、更新時期の1~3か月前に郵便にて通知が送られてきます。内容を確認し、指定された支払い方法で規定の金額を支払いましょう。
なお、賃貸契約を更新せず退去したいという場合、契約書に定められた期間までに退去の申し出をしなければなりません。更新せずに退去するつもりでいても、事前に退去の意思を伝えていなければ自動更新となり、更新料を支払うことになる可能性があります。
まとめ

毎月の家賃とは別で出費が発生する更新料。更新タイミングをきっかけに転居を考える人もけっこういるようです。いずれにしても、思わぬ出費で家計がピンチにならないように、前もって準備しておきましょう。